フィードバックの上手な受け方と与え方

フィードバックをもらうことに多くの人が苦労しています。特に否定的なものや建設的なものをもらうことは難しいです。あなたも同じような状況でしょうか?あるいは、あなたはマネージャーであり、好ましくない状況を避けるためにフィードバックを与えるのをためらってはいませんか?以下のヒントを参考に、効果的なフィードバックの与え方や受け取り方を学んでください。

人はフィードバックが苦手だと感じてはいませんか?

このような考え方は、私自身を含め、多くの人にしばしば見受けられます。あなたがフィードバックをもらうとき、以下のように考えがちでしょう:

  • 不公平だ
  • 評価の仕方が悪い
  • 伝え方が悪い
  • そして、相手は自分を批判できるどんな権利や資格を持っているんだろう、と言う風に。

結局、あなたは過小評価されたと感じ、やる気をなくしてしまうのです。

通常、あなたがフィードバックをする場合、それが必要なことでプロフェッショナルなことだと感じるからするのであるのに、相手はなぜかそれを受け入れることができません。

そして、フィードバックを受ける側にとっては、フィードバックをする人間がフィードバックをすることが下手だと考えてしまうのです…

基本的に: 自分は大丈夫、相手が悪いのだ…。もちろん、これは錯覚です。通常それは、コミュニケーションや自己認識、あるいは自分の意図や行動の捉え方における「盲点」から生じるものなのです。

学ぶ意思 vs. 受け入れられる意思

フィードバックを受け取るということは、人間の二つの重要な欲求の交差点に位置しています: 「学びたい」「認められたい」というものです。この二つの欲求は深く、両者の間にある緊張関係は消えることがありません。私たちはこの緊張感をうまくコントロールし、フィードバックに直面したときの不安を軽減し、恐怖を感じながらも学び続けるためにできる限りのことをする必要があります。

ここで知っておくべき重要なことは、フィードバックを上手に受け取るというのは、身につけることができるスキルであるということです。

そしてさらに、フィードバックを受けることは、常にそれを受け取らなければならないというわけではありません。時にはノーと言うこともできるでしょう。しかし、フィードバックを拒否する前に、そのメッセージや意図、自分の反応を分析して検討する必要があります。

一方、フィードバックを上手に受け取るということは、フィードバックをくれる人との会話に上手に参加し、得た情報や学んだことをどう使うかについて思慮深い選択をすることを意味します。

そして最も重要なことは、相手の言葉を受け止め、他の不要な問題を排除してフィードバックから価値を見出すために、自分の感情の引き金を管理することです。

controlling triggers when getting feedback

フィードバックを受けることのメリット

フィードバックの上手な受け取り方を学び、そのトリガーを見極めれば、気分はずっと良くなるはずです。私もそうでした!

  • 人間関係がより豊かになります。
  • 自己肯定感も守られます。
  • 物事から学んで自分が改善され、最終的には自分の進歩に満足できます。

また、フィードバックの受け取り方が上手になれば、かなり厳しいようなフィードバックのやりとりも、それほど恐怖に感じなくなるはずです。そして職場においても、フィードバックは我慢してやり過ごすようなものとして扱うのではなく、積極的に求めるべきものとして扱うことで、大きな効果が期待できるのです。

自分自身を見つめ直し、積極的にフィードバックを受け入れようとする人は、一緒に仕事をしやすく、付き合いやすい存在です。フィードバックに対してオープンな人と一緒にいると元気が出てきます。あなたがそうであれば、仕事上の人間関係も信頼とユーモアにあふれたものになります。お互いにより効果的に協力でき、それは、より簡単に仕事の問題を解決することにもつながります。個人的な人間関係も同じです。苦情や要求を処理する能力が重要なのです。

これに対して、フィードバックを大声で叫んだり、防衛の姿勢を強く示したり、口論で対応するような人と一緒に働くことはかなり疲れます。そのような人がいると、周りは非常に注意深く振る舞い、衝突を避けるように恐れながら生活します。

見極めるべき3つのトリガー

フィードバックは難しいことではありません。ポジティブなフィードバックは容易に受け入れることができますし、多くの人はそれでうまくやっています。

しかし、厳しいフィードバックは私たちを混乱させ、萎縮させ、攻撃的にします。このようなフィードバックが私たちのトリガーとなります。それらが引き金となり、防御や攻撃、あるいは敗北を覚悟した撤退を始めるのです。自分の感情のトリガーを理解し、何が引き金となるのかを整理することが、自分の反応を管理して楽にフィードバックの対話に参加するためのカギとなるのです。

“Thanks for the Feedback” の著者ダグラス・ストーン (Douglas Stone) とシェイラ・ヘーン (Sheila Heen) によると、3つのトリガーがあるということです:

真実のトリガー

真実のトリガーはフィードバックのトピックと実際の内容に関連するものです。

ここでのカギは、何が起きているかを見極めることです: 相手が自分をほめたいのか、評価をして現状を示したいのか、コーチングをしてよい解決策を示したいのでしょうか?賞賛や評価、コーチング、など分けて理解したうえで、自分がそもそもどのようなフィードバックを期待していたのか、何を得たのかを考えてみると良いでしょう。そして、もしかしたら受け取ったものも価値があるものなのだと受け入れてください。

関係性のトリガー

関係性のトリガーは、フィードバックをする人との関係性に関するものです。「何を」から「誰が」にフォーカスが移り、その人との関係について自分がどう感じているかということです。

ここでのコツは、フィードバック (それ自体は本当に価値があります) とそれを提供する人を切り離すことです。この2つを切り離すことに問題がある場合、あなたとフィードバックをくれる人との関係に何らかの問題がある可能性が高いです。その場合には、まずはその問題に焦点を当て、フィードバックを解釈するのはそれが終わってからにした方がいいでしょう。

ですので、フィードバックにリアクションする前に、一歩下がってあなたとフィードバックの送り主との関係性のシステムを確認してみてください。フィードバックを交換するよう促している問題に、お互いがどのように寄与しているのかを理解しましょう。

フィードバックとあなたの個人的な感情は別の問題であり、別の会話がなされるべきです。

アイデンティティのトリガー

アイデンティティのトリガーでは、カギはフィードバックでも人物でもありません。それは、あなたのアイデンティティです。

自分自身についてや仕事の結果についてどう考えたらいいのか分からないとき、フィードバックは恐怖であり、私たちはバランスを崩しがちになります。自分が何者であるかということを自分自身に語りかけるストーリーが攻撃を受けるのです。ここでのコツとしては、私たちは物事に色を付けがちだということを認識し、歪みを取り払ってフィードバックをできるだけクリアーに見るということです。

フィードバックを上手に受け取っている人とは?

スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドウェック (Carol Dweck) によると、基本的なマインドセットには、固定と成長の2つがあるそうです。

固定のマインドセットを持つ人は、自分の能力は固定的な特性であり、それゆえ変えることはできないと考えています。世界を一つの大きなテストだとみなし、あらゆるフィードバックは評決のようなものだと考えるのです。そのため、たとえ誰かが “建設的な” フィードバックを提供し、あなたがより良くなるようサポートし励まそうと思っても、あなたはそれを、自分がいかにダメな人間かという評価として受け取ってしまうのです。

一方、成長のマインドセットを持つ人は、自分の能力や才能は努力や粘り強さによって時間をかけて伸ばすことができると考えています。この考え方を持つ人は、努力すれば誰でも賢くなったり才能を開花させることができると考えています。自分自身を、常に進化し成長し続ける存在だと考えているのです。フィードバックは自分が今どのような状態にあるかを示してくれます。そこから次に取り組むべきことを探すのです。フィードバックは評決ではなく、インプットの一種なのです。

どうすればフィードバックが効果的になるのか

私たちは皆フィードバックはパワフルなツールであることを知っています。うまくなされれば、社員や同僚、パートナー、子供などの成長を助けることができます。職場においては、信頼とコミュニケーションのレベルを向上させ、上司とチームメンバーとの絆を深めることができます。問題は、嫌なことを避けるためにフィードバックがしばしば省略されがちであるということです。

しかし、フィードバックを受ける側が成長マインドを持ち、3つのトリガーを認識して対処することを学び、また、フィードバックを提供する側もそれを巧みに行えば、世界は素晴らしい場所になるはずです! 😃

以下、誰も傷付けず争いも起こらないような効果的なフィードバックをするためのヒントを挙げてみます:

1. まず、許可を得る

相手にフィードバックを受けたいか、また、いつ受けたいかを確認します。

あなたのコメントで同僚のパフォーマンスをより高いレベルに引き上げることができます。ただし、相手があなたのフィードバックを受け入れてそれに取り組む準備ができている場合にのみ効果があるのです。

時にはあなたのフィードバックを受け取ることを拒否する人がいることに注意してください。

Asking for permission to give feedback

2. 定期的にフィードバックを行う

前述したように、多くの人がフィードバックのプロセスを恐れています。その結果、対面でのフィードバックセッションを遅延させがちです。それでは行き止まりです。四半期ごと、または毎月のサマリーを待っててはいけません。何らかの出来事のすぐ後でフィードバックを行うのがベストです。効果も大きくなります。間が長く空きすぎると、出来事は忘れ去られてしまいます。

一番良いのは、定期的にフィードバックを行うことです。そうすれば、パフォーマンスの問題はリアルタイムで修正され、フィードバックを提供し受け取るというプロセスも大げさなこととはなりません。そのうち天気の話をするのと同じくらい簡単にできるようになるでしょう。

3. 批判的なフィードバックと賞賛のバランスを取り、「BUT」を避ける

最も有用なフィードバックは、肯定的なものと批判的なものの両方をバランスよく行うことです。修正的なフィードバックに終始すると、社員や同僚は問題解決に取り組むどころか、防衛的になり黙ってしまう可能性が高くなります。

ポジティブなフィードバックを定期的に共有するようにしましょう。そうすることで、修正すべき点だけでなく、どれが継続すべきいい点なのかを知ることができるのです。多様で定期的なフィードバックは、職場で強固な人間関係を築くためのカギです。

しかしながら、専門家の中には「サンドイッチ・アプローチ」を推奨する人もいますが、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックを同時に行うのは効果的ではないかもしれません。相手の改善をサポートすることは常にフィードバックの目標であるべきですが、2つの肯定的なコメントの間に修正すべき点を含んだフィードバックを挟んでもうまく行かないことが多いです。この方法では、フィードバックと信頼を徐々に損ない、混乱を招く結果となってしまいます。

さらに言えば、時には以下のように言いたくなることがしばしばあります:「あなたは素晴らしい仕事をしたと思います。しかし…」こう言うことでネガティブな印象が和らいだと考えがちですが、全く逆効果になってしまうのです。

ヒント:ポジティブなコメントと建設的なコメントの両方を伝える必要がある場合には、ポイントを完全に分けてリストアップするようにしましょう:「まず第一に…」などと始めてその問題についてまとめ、さらに続けていくのです:「次に…」

4. 性格ではなく行動にフォーカスする

社員の性格や特徴 (どんな人なのか) ではなく、パフォーマンス (何をしたのか) に注目しましょう。個人についてではなく、状況について話すのです。そうすることで、受け手は身構えることなく、解決策を見出す方向に話を進めていくことができます。

ヒント:フィードバックをするときには過去形を使いましょう。過去の特定の行動について言及したいのです。現在形を使ってしまうと、同僚が日頃そのような行動をしているということを暗に意味してしまうことになってしまいます。

5. 会話をする

受け手がフィードバックに反応し、フォローアップの質問をすることはとても重要です。3つのトリガーを思い出してください。彼らはそれらを特定し、対処するための余裕を持つ必要があります。

問題が明確になれば、解決策や行動指針を見つけるために、二人で協力していくことができます。

しばらくして改善が見られたら、フォローアップや感謝を示すとよいでしょう。そうすることで相手の努力と成功をあなたが気にかけていることも伝わるのです。

6. 自分の意図を再考する

効果的なフィードバックは相手の成長を促すものであり、相手を嫌な気分にさせたり圧迫したりするものではないことは明らかです。誰かを悪く言ったり否定したりすることを目的とした種類のフィードバックは、絶対に逆効果です。

したがって、自分のコメントを伝える前に、時間をかけて自分の意図を明確にしましょう。憂さ晴らしや息抜きをするためにフィードバックをしたいのでしょうか?それとも自分の立場やスキルを誇示したいのでしょうか?そのようなフィードバックは何の改善にもつながりません。

効果的なフィードバックというものは、誰かを良くなるのを助けたいという純粋な気持ちからしか生まれないのです。

7. プライベートにする (いつも?)

15FiveのCEOであるデイビッド・ハッセル (David Hassell) は、公の場では決して 批判してはいけないと警告しています。それは屈辱的なことであり、さらに、単に注目されるのが嫌な人も多いと彼は指摘しています。

Nozbeではできるかぎり透明性を保つようにしています。Nozbeアプリのほとんどのプロジェクトは共有されており、チーム全員がアクセスできるようになっています。こうすることで、誰かが私に修正的なフィードバックを提供するときには (Nozbeアプリのタスクコメントとして文章化されます)、他のメンバー全員もそれを読むことができ、場合によってはさらに建設的なコメントを追加するということも可能です。そのようなアプローチには長所と短所があります。

そのようなフィードバックのやり方について、1対1の対話やメッセージのやり取りで行うべきか、それとも公の場所でコメントを共有する方がより効果的であるか、皆さんのご意見をぜひお聞かせください。

Magda
マーケティングのチームのメンバー。